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ビジネスモラルについて考える [格言・名言集]

何気なく読んでいた浅田次郎氏の文庫本に大変共感できる文章がありましたので、ちょっと長いですがご紹介致します。

「礼」とは社会を維持していくための、生活規範の総称である。
辞書を繙けばおよそそういうことになるのだが、今日の世の中では「お辞儀」「儀礼」「お礼」という程度の意味に集約されてしまっているように思える。
(中略)
ようやくこのごろ、「礼」とは「法」が成立する以前の「社会秩序を維持していくための生活規範」であることに思い至った。
(中略)
たとえば「史記」の「太史公自序」にこんな言葉がある。

礼は未然の前に禁じ、法は已然の後に施す。法の用を為す所の者は見易くして、礼の禁を為す所の者は知り難し。

礼はことが起こる前に自己もしくは周辺社会がそれを禁ずるためのものであり、法律はことがすでに起こってしまってから適用されるものである。
法を用いるべき者はわかりやすいが、礼が禁ずる者はなかなか知り難い。と、そういう意味になる。
(中略)
しかし、「法」は完成したわけではない。(中略)にもかかわらず、「礼」は退行を続けるものである。先の「史記」の言に順えば、現代に生きるわれわれは未然の前に禁ずることを忘れて、已然の後に施される法律のみを社会の規範としてしまっている。「法さえ犯さなければ罰せられることはない」という誤った社会感覚の中に生きている。
「まっ、いっか」 浅田次郎著 集英社文庫


現在の社会状況を的確に表している言葉だと思います。
「礼」と考えると難しくて分かりづらいかもしれませんが、道徳心、モラル等と考えれば理解しやすいと思います。
ビジネスでも道徳心・モラル等を無視し、法律を犯さなければ何をやっても儲ければ良いという風潮が強く見られますが、これは間違っています。

また「礼」を勘違いしている方も多いように思われます。
言葉使いが正しく丁寧であっても、自己の利益ばかり優先したり、騙してでも儲けようとしたり、誇大広告や執拗な勧誘をしていれば、「礼」を失しています。
見た目ではなく中身(道徳心・ビジネスモラル)が大切なのです。

私は言葉使いは悪いですが、少なくともビジネスモラルに反しないことは常に心がけています。
もっとも言葉使いも正しく丁寧にしようと努力?していますが、なかなか直りません。江戸っ子ということで大目に見て頂けると幸いです。
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