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厚生労働省医政局に対して意見書を提出しました [お知らせ]

最近、医療法人の出資持分を持つ者の死亡に伴う出資持分払戻請求に関する相談が多くなってきました。
実際に訴訟になっているケースもあります。

その原因の1つとして考えられるのが、平成27年3月に厚生労働省医政局の委託で株式会社川原経営総合センターがまとめた報告書です。

この報告書の中に下記のような記載があるからです。

定款中に改正前モデル定款第9条と同趣旨の規定が存在する医療法人において、持分を有する社員が死亡により社員資格を喪失した場合、当該社員のもとで持分払戻請求権が発生すると同時に相続されると考えますので、結果的には相続人が請求権者となります。

持分(厳密に言うと持分払戻請求権)については、財産価値を有するものとして、相続税の課税財産に含めることとされています。

しかし、これは間違ってきます。
経過措置型医療法人の持分を有する社員が死亡したときは、一般的に出資持分という権利を相続します。
持分を有する社員が出資持分払戻請求権を行使する意思を表明している時に例外として出資持分払戻請求権というを権利を相続するのであり、報告書に書かれていることは全く逆です。
この報告書の記載が正しいのであれば、持分を有する者が死亡するたびに医療法人に対して出資持分払戻請求が行われ、医療法人は存続できません。

医療法人は、「医療事業の経営主体を法人化することにより、医業の永続性を確保するとともに、資金の集積を容易にし、医業経営の非営利性を損なうことなく、医療の安定的普及を図る」ために創設された法人です。
そのため今までに医療法人が存続できるよう、出資額限度法人制度を設けたり、いわゆる認定医療法人制度を設けてきましたが、この報告書は前述したように持分を有する者が死亡するたびに医療法人に対して出資持分払戻請求が行われることを認めており、医療法人を破産に追い込む危険性がとても高く、医療法人の存続を否定しているとも言えます。

持分のない医療法人に移行できない医療法人はいまだに多くあります。
自らの意思で移行しない医療法人ばかりでなく、出資者全員が持分の放棄に同意しないところや、社員の中に認知症の高齢者がいるところもあります。
このような医療法人にとって本当に迷惑な報告書だと言えます。

このまま間違っていることを放っておくと多くの医療法人がさらなる出資持分払戻請求を要求される恐れがあるので、本日、一般社団法人医業経営研鑽会の名前で、厚生労働省医政局に対して意見書を提出しました。

なお、この意見書の写しは一般社団法人日本医療法人協会にも送付しています。
多くの医療法人にとって人事ではないと思いますし、もし厚生労働省医政局が何も動かないときはお力添えを頂けないかと思ったからです。

もし、出資持分払戻請求に関する資料を欲しいという方がいましたら、一般社団法人医業経営研鑽会 事務局宛にメールをして下さい。

この件について何か動きがありましたら、またブログでご報告致します。


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